1. 書誌情報の記述

1.書誌情報の記述 #

1.1. 本章の前提 #

 古典籍の書誌情報のTEI/XML記述方針の前提として、ここでいう「古典籍の書誌情報」とは国文学研究資料館の「国書データベース」(以下、国書DB)の書誌データを対象にしていることに注意したい。すなわち、本章に記載する書誌データ項目は、国書データベースの著作・書誌項目と対応するものである。  また、方針の検討にあたって、古典籍の書誌情報を対象にしたTEI/XMLマークアップの先行事例である、Cambridge Digital LibraryのJapanese Works コレクションを参照しつつ、NDLによる「メタデータ流通ガイドライン:古典籍編」を踏まえることとした。

 以上のことから、全体方針は以下①~③の通りとし、国書DBの書誌データのTEI/XML化を検討した。

  1. 国書DBの著作(典拠データ)と書誌のデータの2種類のTEI/XMLファイルを作成し、相互に関連させる

 著作と書誌の関係を図示すると、以下の図1の通りとなる。

図1 著作および書誌の関係 図1:著作および書誌の関係

  1. 書誌情報は、msdescriptionで使用されるタグを中心に検討する
  2. 現状の国書データベースの書誌・著作情報の内容の変更はせず、機械的な変換での実現を目指す

1.2. 著作 #

「著作」は、国書DBにおいて、個別の書誌を統制する典拠情報であり、同一著作の個々の書誌へのリンクおよび書誌の種類を明示することを目的とする。したがって、典拠データである「著作」は、国書DB全体で1つのTEI/XMLファイルで表現する(図1左側の通り)。

1.2.1. 著作全体のの記述方針(図1「全著作データのメタデータ」の内容) #

 <teiHeader>として備えるべき、最低限の記述にとどめる。  具体的には以下の通り。

<teiHeader>
        <fileDesc>
            <titleStmt>
                <title>国書データベース著作一覧</title>
                <author>国文学研究資料館</author>
            </titleStmt>
            <publicationStmt>
                <publisher>国文学研究資料館</publisher>
            </publicationStmt>
            <sourceDesc>
                <p>国書データベースの収録内容:江戸時代以前の日本の書籍を中心に、一部、漢籍及び明治時代以降の書籍等資料を含みます。書誌情報等の主要なメタデータは主に 『国書総目録』(岩波書店刊)の継承・発展を目指して構築してきた「日本古典籍総合目録データベース」を引き継いでおり、資料の書誌・所在情報を著作(作品)典拠・著者典拠とともに提供します。書誌情報のリソースは、各機関で公刊された目録類、各機関所蔵の原本資料の画像、国文学研究資料館所蔵資料の3種があり、総じて国内外の機関等の所蔵する資料の書誌・所在情報を収録しています。</p>
            </sourceDesc>
        </fileDesc>
    </teiHeader>

1.2.2. 個々の著作のメタデータ #

 個々の著作のメタデータは著作のTEI/XMLデータのうち、<text>本文を構成する。具体的には、<text> > <listBibl>の直下に<bibl>を置き、<bibl>で一つの著作を記載する。  <bibl>下には、著作データに収録されている各項を、次の通り記載する。

  1. 著作ID:個々の著作の冒頭に記述する<bibl>に、@xml:id属性で著作IDを指定する。なお、著作IDの冒頭に WID を追記する。
  2. 統一書名:<title>エレメントに、@type=”uniform”を追記し、統一書名を記述する。
  3. 巻冊:<extent>で記述。
  4. 著者:<author>で記述。なお、読み仮名、別名等で分割せず、現状の国書DBの記述のままとする。
  5. 成立年:<date>とし、西暦・和暦の区別をつけず、現状の国書DBの記述のままとする。
  6. 著作注記:<note>で記述。
  7. 国書所在:<location>とし、【写】、【版】、【複】、〔活〕等の種類は@typeを指定し、それぞれを分けて記述する。
  8. 著作種別・分類:<keywords>エレメント内に、<term>エレメントを使用し、それに@type属性で分類や著作種別を区別して記入する。
  9. 著作ソース:<source>で記述。
  10. 著作に紐づく個々の書誌へのリンク:<idno>エレメントを使用し、@type=”BID”の属性を付与して、個々の書誌IDを記入する。

1.2.3. 著作データ全体の構造 #

前2項の<teiHeader><text>をまとめると、以下の通りとなる。なお、以下は、雑談集(ぞうだんしゅう)(Zoudanshuu)を例にしている。

<TEI xmlns="http://www.tei-c.org/ns/1.0">
    <teiHeader>
        <fileDesc>
            <titleStmt>
                <title>国書データベース著作一覧</title>
                <author>国文学研究資料館</author>
            </titleStmt>
            <publicationStmt>
                <publisher>国文学研究資料館</publisher>
            </publicationStmt>
            <sourceDesc>
                <p>国書データベースの収録内容:江戸時代以前の日本の書籍を中心に、一部、漢籍及び明治時代以降の書籍等資料を含みます。書誌情報等の主要なメタデータは主に 『国書総目録』(岩波書店刊)の継承・発展を目指して構築してきた「日本古典籍総合目録データベース」を引き継いでおり、資料の書誌・所在情報を著作(作品)典拠・著者典拠とともに提供します。書誌情報のリソースは、各機関で公刊された目録類、各機関所蔵の原本資料の画像、国文学研究資料館所蔵資料の3種があり、総じて国内外の機関等の所蔵する資料の書誌・所在情報を収録しています。</p>
            </sourceDesc>
        </fileDesc>
    </teiHeader>
    <text>
        <body>
            <listBibl>
                <bibl xml:id="WID5049">  <!-- 著作ID -->
                    <title type="uniform">雑談集(ぞうだんしゅう)(Zoudanshuu)</title><!-- 統一書名 -->
                    <extent>二巻二冊</extent><!-- 巻冊 -->
                    <author>狂而堂/其角(其角)(Kyoujidou Kikaku(Kikaku))</author><!-- 著者 -->
                    <date>元禄四刊(1691)</date><!-- 成立年 -->
                    <note>〈備〉日本古典文学大辞典に解説あり。</note><!-- 著作注記 -->
                    <location type="写">【写】国会(一冊),東大(抄、三家雋三),天理綿屋(元禄四版写一冊)</location>
                   <location type="版">【版】<元禄四版>愛知学芸,香川大神原,九大,京大潁原,京大谷村(上巻一冊),東大洒竹,北大,柿衛,松宇,天理綿屋,藤園,中島杏,[補遺]竜谷<元禄一六版>東大竹冷<天保一四版>大阪府,天理綿屋<刊年不明>国会,学習院,京大,早大(一冊),岩瀬,酒田光丘,果園,田中允</location>
                   <location type="複">【複】<edition type="活">〔活〕其角全集(聚英閣)・校註俳文学大系随筆編・俳諧文庫其角全集</edition></location>
                    </location><!-- 国書所在 -->
                    <keywords>
                      <term type="分類">俳諧</term><!-- 分類 -->
                      <term type="著作種別">和古書</term> <!-- 著作種別 -->
                    </keywords>
                    <source>『国書総目録』所収,2</source> <!-- 著作ソース -->
                    <idno type="BID">29203478</idno><!-- 書誌へのリンク。書誌IDを入力 -->
                    <idno type="BID">100305823</idno><!-- 書誌へのリンク。書誌IDを入力 -->
                    <idno type="BID">61007</idno><!-- 書誌へのリンク。書誌IDを入力 -->
<!-- 同様に書誌へのリンク。以下略-->
                </bibl>
                <bibl>
                      ~~上と同様の記述
                </bibl>
            </listBibl>
        </body>
    </text>
</TEI>

1.3. 書誌 #

 書誌データは、一書誌につき一つのTEI/XMLファイルを作成する(図1右側の通り)。また、「1.1.本章の前提」に記載のとおり、国書DBの書誌項目は、<teiHeader>内の<msDesDesc>で使用されるタグに対応させて記述する。

1.3.1. 国書DBの書誌詳細画面の構造 #

 以下、国書DBの書誌項目の表記の順序からタグを解説する。図2は、国書DBで公開されている雜談集(国文研所蔵)の書誌詳細画面と、その構成要素である。

図2:国書DBの書誌詳細画面の構造 図2:国書DBの書誌詳細画面の構造

 図2の書誌詳細画面は、「画像情報」「書誌情報」「著作情報」の3つで構成されている。このうち、「著作情報」は、「1.2.著作」に記述する「個々の著作のメタデータ」と同一である。そのため、書誌のTEI/XMLファイルでは、著作情報を記述せず、「個々の著作のメタデータ」とリンクさせる方針とする。このことから、書誌のTEI/XMLファイルに記述するメタデータは、「画像情報」と「書誌情報」のエリアに記載される各項目となる。以下、国書DBの書誌詳細画面の構造で表示される順番に従って、対応するタグを確認する。

1.3.2. 画像情報 #

  1. Manifest URI
    Manifest URIは、<msContents>下に<idno>を設置し、@type属性でmanifestURIを記述する。なお、<idno>には、IIIFマニフェストの他に、「和古書請求記号」「マイクロ請求記号」「紙焼写真請求記号」「デジタル請求記号」「URI」「DOI」をそれぞれ@type属性で指定して記述する。

例)

<sourceDesc>
    <msDesc> 
        <msContents>
            <idno type="manifestURI">https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200015434/manifest</idno>
        </msContents>
    </msDesc>
</sourceDesc>

2) 画像の利用条件
 画像の利用条件は、licenceタグを使い、@target属性で該当するクリエイティブコモンズライセンス等のURIを記入して表現する。また、<p>タグを用いて、国書DBの画像利用条件の記述内容を記載する。

例)

<additional>
    <adminInfo>
        <availability>
            <licence target="https://creativecommons.org/publicdomain/mark/1.0/deed.ja">
                <p>制限なく自由に利活用いただけます。</p>
            </licence>
        </availabilty>
    </adminInfo>
</additional>

1.3.3. 書誌情報 #

書誌情報には下記の項目名があるが、下線の項目以外は必ずしも書誌に記載があるわけではない。

表1:書誌項目とその内容、および使用するタグとの対照表

項目名 内容 使用するタグとその構造
書誌ID 書誌レコード番号 @corresp属性で著作ID(WIDXXXX)と紐づける //titleStmt/title[@corresp="#WIDXXXX"]
種別 書誌種別 //titleStmt/respStmt/resp
標目書名 本としての資料の代表書名(マイクロ資料の場合はターゲット書名),書名の種別 //souceDesc/msDesc/msContents/msItem/title
記載書名 資料に記載されている書名,書名の種別 //souceDesc/msDesc/msContents/msItem/title
記載著者名 資料に記載されている著者名  他等 役割 /伝(部編等の注記) @sameAS属性で著者IDと紐づける //sourceDesc/msDesc/msContents/msItem/author[@sameAs=”#著者ID”]
巻数 資料の巻数 //sourceDesc/msDesc/physDesc/objectDesc/supportDesc/extent[@type=“巻数”]
刊写 刊:印刷による,写:書写による,混:刊写入り混じり objectDescの属性に、@type=“刊”, @type=”写", @type=“混"で区別する //souceDesc/msDesc[@type=“刊”]
書写事項 書写者,書写年(部編等の注記) *下の出版事項と統合されて表示される場合もある。 //souceDesc/msDesc/history/origin /p
出版事項 出版者,出版年(部編等の注記) *上の書写事項と統合されて表示される場合もある。 //souceDesc/msDesc/history/origin/p
形態 丁数,大きさ,紙型などの形態的事項 //sourceDesc/msDesc/msIdentifier/physDesc/objectDesc/supportDesc/support
冊数 冊数 //sourceDesc/msDesc/msIdentifier/physDesc/objectDesc/supportDesc/extent[@type=“冊数”]
残欠 完本でない場合の残存欠落に関する表示 //souceDesc/msDesc/msIdentifier/physDesc/objectDesc/supportDesc/extent[@type=“残欠”]
書誌注記 注記種別ごとの注記 //souceDesc/msDesc/msContents/msItem/note
コレクション 所蔵者名,コレクション名,所蔵者請求記号 //souceDesc/msDesc/msIdentifier/collection
目録分類・データソース 所蔵者目録での分類,データソースID,データソース内連番 //titleStmt/respStmt/note
和古書請求記号 国文研蔵の場合の原資料の請求記号 //souceDesc/msDesc/msContents/idno[@type=“和古書請求記号”]
マイクロ請求記号 国文研所蔵マイクロフィルムの場合のフィルム請求記号 //souceDesc/msDesc/msContents/idno[type=“マイクロ請求記号”]
紙焼写真請求記号 国文研所蔵紙焼写真本請求記号 //souceDesc/msDesc/msContents/idno[@type=“紙焼写真請求記号”]
デジタル請求記号 デジタル画像請求記号 //souceDesc/msDesc/msContents/idno[@type=“デジタル請求記号”]
URI 当該ページのURI //souceDesc/msDesc/msContents/idno[@type=“URI”]
DOI 当該ページのデジタルオブジェクト識別子 //souceDesc/msDesc/msContents/idno[@type=“DOI”]

以上のことを、書誌TEI/XMLの構造に基づいて国書DBの書誌項目と対応させると、以下の通りとなる

表2:書誌のXML構造および国書DBの書誌項目対応表

TEI/XMLエレメントの構造 属性 国書DBの書誌項目
titleStmt
title @correp属性で著作IDと紐づける 書誌ID
respStmt
resp 種別
note 目録分類・データソース情報
sourceDesc
msDesc @type=“刊”, @type=”写”, @type=“混” 刊写
msIdentifier
collection コレクション
msContents
summary 欄外の解題(あれば)
msItem
author @sameAs属性で著者IDと紐づける 記載著者名
title 記載書名
title 標目書名
note 書誌注記
idno type=“和古書請求記号” 和古書請求記号
idno type=“マイクロ請求記号” マイクロ請求記号
idno type=“紙焼写真請求記号” 紙焼写真請求記号
idno type=“デジタル請求記号” デジタル請求記号
idno type=“manifestURI” Manifest URI
idno type=“URI” URI
idno type=“DOI” DOI
physDesc
objectDesc
supportDesc
support 形態
extent type=“冊数” 冊数
extent type=“巻数” 巻数
extent type=“残欠” 残欠
history
origin
p 書写/出版事項
additional
adminInfo
availability
licence ライセンス情報
publicationStmt
publisher

 

1.3.4. 書誌全体のXML構造と作成事例 #

 実際に書誌データ全体を前項のルールに従いマークアップすると、以下のように記述することになる。

例)雑談集(ぞうだんしゅう)(Zoudanshuu)

<TEI xmlns="http://www.tei-c.org/ns/1.0">
    <teiHeader>
        <fileDesc>
            <titleStmt>
                <title corresp="#WID5049">200015434</title>
                    <respStmt>
                        <resp>国文研蔵</resp>
                    </respStmt>
            </titleStmt>
            <sourceDesc>
                <msDesc type="刊">
                    <msIdentifier>
                        <collection>国文学研究資料館,一般</collection>
                    </msIdentifier>
                    <msContents>
                        <msItem>
                            <author sameAs="#135499">寳晋齊/其角 著</author>
                            <title>1.雜談集(ぞうだんしゅう)(Zoudanshuu),内・外・袋</title>
                            <note>
                                <p>〈著〉記載著者名は書袋による。〈版〉下巻末に大坂書林鹿嶌献可堂藏版目録あり。〈形〉書袋あり,外題は後補,書き題簽。〈奥〉(本奥書)「元禄辛未歳内立春日於狂而堂燈下書(…)」。</p>
                            </note>
                        </msItem>
                        <idno type="URI">https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200015434/</idno>
                        <idno type="DOI">https://doi.org/10.20730/200015434</idno>
                        <idno type="manifestURI">https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200015434/manifest</idno>
                    </msContents>
                    <physDesc>
                        <objectDesc>
                            <supportDesc>
                                <support>22.5×15.7cm 半</support>
                                <extent type="巻数">上下</extent>
                                <extent type="冊数">2冊</extent>
                            </supportDesc>
                        </objectDesc>
                    </physDesc>
                    <history>
                        <orgin>
                            <p>〈浪華〉塩屋/忠兵衛〈江都〉須原屋/市兵衞</p>
                        </origin>
                    </history>
                    <additional>
                        <adminInfo>
                            <availability>
                                <licence target="https://creativecommons.org/publicdomain/mark/1.0/deed.ja">
                                    <p>制限なく自由に利活用いただけます。</p>
                                </licence>
                            </availabilty>
                        </adminInfo>
                    </additional>
                </msDesc>
            </sourceDesc>
            <publicationStmt>
                <publisher>国文学研究資料館</publisher>
            </publicationStmt>
        </fileDesc>
    </teiHeader>
</TEI>