3. 韻文:和歌集 #
3.1. 韻文に関するマークアップ方針作成の前提 #
- 本章作成にあたっては、和歌集のマークアップ事例として、廣瀬本万葉集と古今集の2種の事例を参照している。
- 2種の事例の共通部分を中心に、異なる部分はそれぞれの紹介にとどめるようにした。
- 和歌部分をメインとしつつ、全体の作成にも言及するが、散文部分についてはその他の章も併せて参照のこと。
3.2.和歌集の構造に関する記述:巻(章)・丁・字下げ・行分け #
⇒ 2.1.も参照のこと
1. 巻の扱い: #
- a. 廣瀬本:各巻は
<div>タグを使用し、@n=“廣瀬本万葉集巻一"のように記述する。 - b. 古今集:章に相当する各巻、つまり部立全体を
<div>とし、@type=“部立"を付与して記述する。巻名は<head>に@type=“巻名”、部立名はheadに@type=“部立名"を付与する。
2. ページ(丁)の扱い #
- a. 廣瀬本:
<pb>エレメントは、頁ごとに対応させ、既存の頁の数え方にあわせた値を持たせることを基本する。頁画像単位で、IIIFに対応するための@source属性と@corresp属性を付与する。 - b. 古今集:丁(書籍の2ページ分に相当し、1丁を1オモテ、1ウラというように表裏で区別する)の別を
<pb>で記述する。オモテ面は<pb>に@n=“1r”、ウラ面は<pb>に@n=“1v"のように記述する。
3. 字下げ・行分けの扱い: #
- i. 字下げは@styleを付与して記述
- ii. 行分けは
<lb>で記述する
3.3. 和歌集における散文部分の扱い #
-
a. 廣瀬本:
<p>で記述する。 -
b. 古今集:
- i. 和歌が詠まれた状況を説明する詞書という散文部分と、作者名をまとめて
<note>に@type=“詞書"を付与して記述し、作者名の部分を<persName>に@type=“作者"を付与し記述する。和歌一首を<l>で記述し、以上のまとまりを<div>に@type=“和歌"を付与し記述する - ii. 詞書については、各
<l>に『新編国歌大観』の歌番号を@nで示し、さらに<l>に@xml:idをnいくつ、という形で付与し、詞書の<note>の@targetで当該和歌の@xml:idと対応させる。また2字下げであることを示すため、@styleを利用し<note>に@type=“詞書” @style=“text-indent:2em” @target="#n1"のように記述する。
- i. 和歌が詠まれた状況を説明する詞書という散文部分と、作者名をまとめて
3.4. 和歌集における韻文部分の扱い:短歌と長歌・国歌大観番号の付与 #
1. 短歌の扱い #
- a. 廣瀬本:
<lg>エレメントとし、@type属性で明示。短歌の本文と訓の対応は、<lg>内でそれぞれ<l>でマークアップし、@xml:id/@correp属性で参照する。作者については@corresp属性でxml:id参照を付与する。 - b. 古今集:
<l>で記述し、@nで『新編国歌大観』歌番号を付与し、@xml:idを付与。@respで作者の情報を記述。和歌一首の内部は五、七、五、七、七という音数の句の切れ目を<seg>で記述して示し、句の位置を指定する。
2. 長歌の扱い #
- a. 廣瀬本:
<ab>エレメント、<lg>エレメント、<p>エレメントでマークアップする。加えて、長歌・短歌はそれぞれ@type属性で明示する。作者については@corresp属性でxml:id参照を付与する(⇒次項3.5.の1を参照)。長歌の傍訓は<seg>タグと@type属性のruby、rt、rbを用いて、傍訓とその対象を記述する。
3. 新旧の国歌大観番号をxml:idとして付与する #
- a. 廣瀬本の場合:旧国歌大観番号を利用
- b. 古今集の場合:新編国家大観番号を利用
3.5. その他:注記・作者等の人名情報の記述 #
1. 人名の扱い: #
登場する人名は、<back>中の<listPerson>に<person>としてリストし、それぞれにxml:idを付与して他の箇所から参照できるようにする。
⇒ 2.3.も参照。
- a. 古今集:『古今集』は身分の高い作者は通常の作者名の表示位置に示されず、詞書中に作者が示される場合があり、その場合は詞書中の人名を
<persName>@type=“作者"で記述する。
※ 勅撰集の書式のルールでは、同一の詞書や作者名の和歌を二首以上連続して配列する際は、二首目以降の和歌には詞書と作者名が省略されている。そのため以下のような対応とした。
詞書がない場合:直前の詞書を参照し、直前の詞書の@targetで対応させる。
和歌だけが連続して書かれ、詞書と作者名が数首分省略される場合:詞書の<note>に付与される@targetは@target=”#n16 #n17 #n18 #n19 #n20"のようになる。作者名は書かれている直前の作者名を参照し、<l>の@respで当該歌人の@xml:idと対応させる。
2. 本文以外のテキスト(「書き入れ」と呼ぶ)の扱い: #
種類に応じて<note>、<add>、<corr>エレメントを用いてマークアップを行う。
-
a.
<note>には内容的にタイプが分かれる場合、これを@type属性で区別する。
i. 廣瀬本:書き入れの状況にかんがみ、合点(異文、異訓、摘句)、注、異文、異訓、訓、送り、割書の区別をした。(なお、朱字については対象外とした)。合点についてはさらに3つに細分化されるが、これは@subtype属性を用いて記述し、それぞれの由来については@resp属性で示した。
ii. 古今集:左注は、和歌の左側に書かれ、異文や作者に関する異伝の情報を補足的に説明する注記である。『新編国歌大観』では和歌より三字下げで示されているが、これに倣い、<note>に@type=“左注” @style=“text-indent:3em” @target=”#n7"のように付与し記述する。 -
b. 書き入れの位置情報:
- i. 廣瀬本:重要になる場合もあるため、可能な限り、@place属性で位置情報を記述する。位置情報の値は、TEIガイドラインで提供されている値を用いることを基本とするが、上下左右の余白に記述されている場合は、margin-*というプレフィックスを値につけることで対応する。
-
c. 補入:
<add>エレメントを用い、@place属性をすべて付与する。 -
d. 訂正:
- i. ミセケチがある場合は
<del>で削除を示して追記には<add>を付与し、全体を<subst>で囲んでいる。由来については@resp属性で示す。
<subst><del>誤字</del><add>訂正文字</add></subst> - ii. ミセケチがない場合は
<corr>で訂正を示し、訂正の対象になっているものを<sic>、両者を<choice>で囲むことで訂正対象と訂正との関係を明示している。由来については@resp属性で示した。<choice><sic>誤字</sic><corr>訂正文字</corr></choice>
- i. ミセケチがある場合は
-
e. 書き入れ:
- i. 廣瀬本:本文の任意の箇所が対象になることが多く、
<note>の対象になるテキストを明示するようにマークアップする。具体的には、本文中の対象の始点に<note>エレメントを挿入し、終点には、@type=”noteEnd”属性を持たせた空タグの<anchor>エレメントを入れる。また、始点と終点がわかりにくい場合には、<anchor>に@xml:id 属性を付与し、<note>エレメントに用意されている@targetEndから参照することで、始点と終点の関係を明示できるようにした。 また、書き入れの中には、定家本を由来とするものと、そうでないものとの少なくとも2種類が存在することが想定される。それについては、@resp属性で示して機械的に区別できるようにする。
例)
<note place="right" resp="\#定家本" type="注" xml:id="note0100001" targetEnd="\#note0100001e">雄略天皇</note><note place="right" resp="\#定家本" type="合点" subtype="訓" xml:id="note0100002" targetEnd="\#note0100002e">〽ハツセアサクラ</note>泊瀬朝倉<anchor type="noteEnd" xml:id="note0100002e"/>宮<anchor type="noteEnd" xml:id="note0100001e"/>御宇<del type="ミセケチ" rend="red" xml:id="shu0100001">天皇代</del> - i. 廣瀬本:本文の任意の箇所が対象になることが多く、
-
f. 割書(割注):
<note>タグでマークアップを行う。割書中の改行は、通常の改行<lb>と区別するために、<milestone>@unit=“wbr” を用いる。